第2章 3人のお兄ちゃん
それからルーミーは強くなるためにいろいろ努力した。
毎日重しをつけて歩いたり、夜中に短剣を振り回し練習したり、時には医学書を読んで応急処置の勉強もした。
しかし何故かルーミーは強くなるどころか身体が引き締まって可愛らしさが益々磨かれていくだけだった。
ルーミーの美貌は村中だけではなく王国中に響き渡ることになった。
「明日王宮に呼ばれたんですか?ルーミーが?」
「そうなんじゃ。しかも国王の側室という話も出ておる」
「そんな…じゃあルーミーは一生…」
「籠の中の鳥になるだろうな…」
「そんな…」
たまたまマキノと村長の話を聞いていたルーミーは絶望した。
自分が今までやってきたことはなんだったんだ…。
絶望の中、思い浮かんだのはエースとルフィの顔だった。
山賊は怖いけど側室になるよりマシだ!
ルーミーは山裏のダダンの屋敷へと向かった。
「ルフィ!!」
ルーミーはダダンの屋敷のドアを開けると脇目も振らずルフィを見つけ抱きつき大声で泣いた。
「ルーミー、急に来てどうしたんだ?ハラへったか?でもここは自給自足だからおめぇの分はないぞ」
「私…私ここにいたい」
「えー!!」
ルーミーの言葉に驚いたのはルフィ以外のその場にいた全員だった。
そしてひとしきり泣いた後、真ん中に座らせられて事情を話した。
「実は…私、国王の側室にされそうで。そんなことの為に強くなろうとしたわけじゃないのに…」
「国王って誰のだい?」
「多分ゴア王国のことニーよ…」
「そんな…そんな人生を送るために生きてきたわけじゃない!私は自分のことは自分で決めたい!」
その言葉に誰も何も言えなかった。
ダダンだけはルーミーをジッと見た。
「そうか…なら明日から死ぬ気で働いてもらうからね。今日は休みな」
「あ、ありがとうございます!」
「よかったなぁ!ルーミー!!これで一緒に暮らせるな!エースとサボを紹介するぞ!」
「うん!」
ルフィとルーミーはエースとサボの元へ向かった。
「いいんディーかい?お頭」
「いいも何もあんな目で見られちゃね。しかもガープの孫にしてはまともだしね」
それからルーミーは王国内で「オーシャンドール」として指名手配されてることに気づかず僅かな幸せな日々を過ごすのだった。