第1章 目線の正体
その日はショックで会社を休んだ。とても行く気にはなれなかったからだ。
なんで、彼が―――
私は泣きつかれたのか、そのまま眠ってしまった。
「ん………」
気がつけばもう夜になっていた。かなりの時間寝ていたようだ。
もう彼が死んだことやストーカー被害のことで頭がごちゃごちゃだった。
「あ、そういえば…」
朝の手紙って、結局なんなんだろう。
そんなことを考えていると、
ガチャ。
と玄関の方で音がした。
―――え?
私の両親は私が今住んでいるアパートのことを知っているが、鍵は持っていない。友達もそうだ。
じゃあ、今玄関の鍵を開けたのは一体―――
「こんにちは」
「…え?」
私の後ろには、見知らぬ男性がいた。
「はじめまして、俺はそらる。君を迎えに来た。」
「え…え…」
「ああ…怯えた表情も可愛いなあ。この顔は、俺以外の誰にも見せたくない。笑った顔も、怒った顔も、かわいい顔も、全部全部全部全部全部。見せてたまるか。だって、名前は俺のものだから。」
待って、話についていけない。
この人がストーカーの可能性は高い。だって私はこの人のことなんて知らないから。
私は勇気を出して彼に聞いてみた。
「もしかして貴方が、私のストーカーなんですか?」
「そうだよ。俺がお前のストーカーだ。名前の怯えた表情が沢山見れて良かったなあ…本当に良かった。君の彼氏を殺して」
「え?」
「まあ、詳しいことは後で。とりあえず今は眠ってね」
「ん!?」
突然彼に口を塞がれた。中に睡眠薬でも仕込まれていたのか、私は段々眠くなってきて、そのまま眠ってしまった。