第1章 目線の正体
「……ん」
「あ、起きた」
「いやああああああ!!」
前を向いたらあの男がいて、思わず叫んでしまった。
「もう、そんなに驚かなくてもいいのに…」
「そっ、それよりここはどこなの!?」
「ああ、ここが今日から君の家だよ」
「え?」
辺りを見渡してみると、ここは薄暗い部屋で、私の手首は鎖に繋がれていた。
「名前の居場所は今日からここだ。ここで一生俺だけに愛されて見られて見て暮らしていくんだよ?」
「そんなの嫌だ…家に返して」
「え?名前の家ならとっくに空き部屋にしてあるし、両親や友達も全員殺したよ?」
「え?」
「ここまでするの本当に大変だったんだぞ、全く………でも、こうして名前を手に入れられたなら、もう何も心配はない…」
「い…嫌だ……嫌だ…いやああああああ!」
「落ち着いて…名前。俺がずーっと一緒にいるし愛してるしお世話してあげるから……名前は俺のもの」
ああ、如何してこうなってしまったのだろう。
でも、彼から逃げ出すことは不可能だ。
だって―――
彼の愛に私は縛られたから。