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平等な死などない【ワンピース】

第11章 この気持ちを愛する貴方へ(※)


「聞いたか?クマラさんが海軍を抜けるって話」
「……その話詳しく聞かせぃ」
「ひぇっ」

食堂で食事をしていたいつもの三人は、通りがかった海兵の話に耳を疑った。何せ、自分たちの敬愛するクマラが海軍を出ていくというのだから

平均身長の海兵二人を3mの巨体で囲み、みっちり聴き込んだ三人は急いで食事をかきこみクマラの居るガープの執務室へ急いだ。三人は大佐や中佐と言った比較的高めの地位に属しており、こういった自由行動も許容範囲内で許されている

「クマラさん!」
「海軍を抜けるって本当ですかねぇ~……!?」
「それちょっと聞き捨てならないんですけど嘘ですよね!?」

ノックをいつも忘れないサカズキですら慌ててガープの執務室に入り、ノックしろとクマラに叱られ初めて扉をノックする。ガープが笑って入室を許可すると、三人はいそいそと中へ入ってきた

「さっきの抜ける話だが、それは本当だぞ」
「……」
「あっやばいサカズキが抜け殻になった」

抜けるという現実だけを告げたクマラの発言に、この3人の中で一番固執しているサカズキの口から魂が出るような幻覚が周りの人間には見えた。戻れ戻れとクマラに口の中へそれを押し込まれ、はっと意識が戻ったサカズキはクマラの手を掴む

「行かんといて下さい、クマラさん……!」
「そう言われても、俺のやることはもう無いしなぁ」

補佐官として代理を務める人間もクマラは既にコング経由で採用しており、ゼファーの負担が減るよう現役を引退しようとしていた数名のベテラン海兵に教官への誘いも済ませている。本当にクマラができる限りの事は全てやり尽くした後なのだ

何とかまだ居てもらおうと何か無いかと考え口にしても、それはもう終わったと根回しの速いクマラにただただ肩を落とす三人。これは勝てないとガープを見るが、ガープも諦めろと言った顔でお茶を啜っており頼れそうにない

ガープも離れて欲しくない気持ちはあるし、なんなら三人が来る数分前までクマラを抱きしめて男泣きしていた。だがそんな事になってもクマラの意思は変わらず、ガープも泣いて少し冷静になったのか、五年も共に居れたことを振り返ってクマラを見送る事を決意している
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