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平等な死などない【ワンピース】

第11章 この気持ちを愛する貴方へ(※)


「えっ、海軍を抜ける!?」

机に積み重なっていた書類が、ガープの力強く掌を机についた衝動でドサドサと落ちていく。事の発端の発言をしたクマラはさも当然のようにあぁそうだと言いながら書類を拾った

「お前、急すぎん……?」
「前々からコングの奴には話してたんだ。ここ最近クザンたちの成長も著しいし、頃合を見て」

クマラの言葉に、俺は何も知らされてないとブチ切れたガープはドタバタと急ぎ足で元帥室へ特攻していく。それを見送ったクマラは、まだ床に散らばる書類を拾って整理するために「よっこいせ」なんて言いつつ屈んだ

なんとか机に並べ終わると、今度は部屋に息切れした状態のセンゴクが現れる。今日はいつもより忙しいなと振り返ったクマラは、困惑した時くせでやるハグの餌食になった

「苦しい、センゴク」
「……海軍を、離れると?」
「んん」

そうだと頷くクマラに、センゴクは深い溜息を吐いてキツく腕の中で抱き締める。大将となり自分の力強さを認めてもらった後、結婚前提のお付き合いとしてプロポーズし直したセンゴクだが、結局クマラからの返事は“No”。クマラの心を射止めることは叶わなかった

ただ、その想いだけは受け取って感謝を述べたクマラに、センゴクは諦めきれず今だその気持ちを抱えている。故に叶わなかった後の今でも、センゴクはこうやって態度などで気持ちを伝える方向性に変えた

そして、こうやってきつく抱き締めて離さないのはセンゴクなりの「いかないで」の合図。これからも近くにいて、小鳥のよう勝手に求愛をし続けさせて欲しいと頬を擦り寄せるセンゴク。だがクマラもここを離れなければならない理由があった

クマラがここに来た理由は不老不死の文献を拝借する事が発端である。その為、ガープという権力者の傍で何年も働いて、文献の横流しを頼んでも手に入らない物にこれ以上深追いする程クマラは気長では無い

海軍本部に補佐官として配属されて五年。エルバフにいた時よりは短いとはいえ、クマラは五年も海軍本部で組織というものに縛られつつガープを支え続けた

五年も居て手に入らないなら、また自分の足で探し出す方が良いと考えたクマラを止められるものはいない。出発する日は元帥のコングだけは知らされていた
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