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平等な死などない【ワンピース】

第10章 意識し始めた頃


「おいクザン!こっちも凍らせるなよ!」
「あーごめんごめん。まだ言うこと聞いてくれないんだよコイツ」
「お前の力だろうが!」

辺りを凍りつかせ、味方の海兵すら凍った甲板で転んでしまう現状にクザンは頬をかいた。使い勝手悪いなぁと思いつつも、自分と同じような範囲型のサカズキが使いこなしているのだから何も言えない

頑張りどころだと、数滴の水から作り出した氷の剣にクザンは上出来だと笑って敵に突っ込んでいく。ロギアの為並大抵の攻撃ではクザンにダメージを与えることは叶わず、次から次へとクザンの半透明な氷剣には赤い色がついて行く

殲滅間近となり、あともう少しだと各々気を引き締め直した直後、どこからともなくドボンと水に何かが落ちる大きな音がした。その方向からは海兵の叫びが聞こえ、近くにいたクザンは急いでそちらに駆け寄り近くの海賊を剣で突き刺す

「どうした!」
「クマラっ、補佐官が……っ」
「おいおい、あの人カナヅチだぞ!」

慌てて見た海面には、赤い色が広がっておりクザンの顔から一気に血の気が引いていく。どうやら、海兵を庇って剣を突き刺されたクマラが海賊に突き落とされたらしい

動揺したクザンは、水に入ってクマラを助ける為にとタンクトップに手をかける。すぐに駆け寄ってきたボルサリーノにそれを止められ、改めて自分がカナヅチになったことを呪った

クマラが落ちた事に気付いたゼファーがクマラを助けに海に潜る中、クザンはどうしようもない自分の中のやるせない気持ちを海賊へと向ける。大事な時に、肝心な時に役に立たない自分の呪われた体に、ただ恨み言を呟きつつ

「……あぁ、くそっ……最悪だ……最悪、最悪……っ」
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