第10章 意識し始めた頃
海軍本部に帰還した後、報告書を提出し能力者入りしたクザンは現在ガープ・クマラ・サカズキ・ボルサリーノに無事帰還&能力者の仲間入りとして祝いの席を設けられていた
(……俺、幸せすぎて死んだりしねぇよな?)
左に尊敬するガープ、右に最近ちょっと気になりつつあるクマラが座っており、クザンは過去最高の気分でジョッキを握っている。ソワソワする気持ちを抑えきれていないのが、若手のサカズキ達からも見て取れた
「にしてもクザンが能力者ねェ~。前ゼファー教官の能力者講義の時売るとか言ってなかったか~い?」
「最初はそう思ってたんだけど、なんか手にしたら食うことしか考えてなくって」
不思議だよな、とビールを飲むクザンに、クマラは肩に腕を回して「これで俺が溺れた時助けてくれる人員がガープだけになったな」とカラカラ笑う。ガープはガープで「俺が居りゃクマラは十分」と胸を張っており、相当信頼しあっているのが伺えた
自分もこんな関係になりたいな、なんて落ち着かない様子でクマラを見下ろしたクザンだが、背丈が70cm近く違うのもあり頭のてっぺんしか彼には見えていない。ただでさえ見えない表情が、顔の輪郭すら見えなくなっている様だ
「あっ、そう言えばお前ら。ゼファーの奴が最近増えてきたから、能力者専用訓練を考えたとか言ってたぞ。……なんか頑張れ」
「「「えっ」」」
突然クマラから告げられた言葉に、能力者三人は顔を青ざめさせて身を強ばらせた。ゼファーは能力に頼るな精神の人間で、元より訓練は厳しいものだったが能力者になってからはより厳しくなったと3人は感じている
そんな中、クマラから教えられた能力者専用訓練とやらに三人は少しだけ想像して、そこから考えることをやめた。今考えることじゃないと、手持ちのジョッキに残っているビールを三人仲良く飲み干す
翌日。能力者全員にゼファーによる《能力者専用訓練案内》が配られ、能力者の弱点や強みの講座にクマラが出るのはまた別のお話