第10章 意識し始めた頃
「新世界に逃げたとある海賊の殲滅が今回の任務だ。そいつらの居場所も分かってるから、そいつらを殲滅出来れば帰還できると考えてくれていい」
甲板で並ぶ海兵の中、別件の仕事をしているガープの代わりにクマラが今回の新世界入りについての話を説明し始める。新世界では流石にいつもの気だるさでやれるとは思っていないクザンも、ピシッと背筋を伸ばし内容に耳を傾けた
「─────以上、今回の任務の概要だ。常に戦闘が出来るよう気を引き締めて持ち場について欲しい」
「「「はっ!!」」」
敬礼をした海兵たちは隊ごとに振り当てられた仕事に向かう為ゾロゾロと移動を始める。クマラはそれを見送ると電伝虫を取りだし、船内にいるガープへ指示が終わったことを報告した
その後のクマラは各方面は見張りに任せ、海面下からの奇襲に備え海の音を聞き分ける作業に入った。船の底にある場所では海の中の音が響き、違いがわかりやすい
暫く耳を澄ましつつ、ランプで照らされた書類を確認していると上の方で砲撃の音がし始めた。籠に書類を収めたクマラは急いで階段を登り、甲板へ上がり辺りの様子を伺う
「いい所に来たクマラ!迎撃だ!」
「わかった」
お目当ての海賊団に遭遇したらしく、早めに終わりそうだとクマラは敵の船に乗り込んだ。比較的海軍船よりかは大きな船ではあるが、人間の身体能力のそれとはかけ離れたクマラにまともなダメージを与えられる船員はいない模様
クマラの化け物地味た戦い方に、ある海賊が「化け物」と後ずさった。言われ慣れた言葉にクマラはなんの反応も示さないが、それを聞いて怒るものも、少なからずいる訳で
「……っ!」
額に青筋を浮かべたガープは、クマラに撤退の声を出すと海賊船へ共に乗り込んでいた数名の海兵を先に放り投げて避難させ、最後にクマラも海軍船に避難した。直後、これ幸いにと逃げ出そうとする海賊船にガープは砲弾の玉を構える
「友を悪く言われるのは嫌いでな!!」
怒りに満ちた笑みでガープは手元の砲弾を投げた。まるで野球ボールのように投げられた重々しい砲弾は、目にも止まらぬ速さで海賊船へ飛んでいき、着弾。着弾した箇所はその速さから熱を持った爆弾が起爆した事により爆破し、徐々に船体を傾け始める