第13章 出会いと別れのログ
「駄目だ」
「クロッカスそこをなんとか!」
「昨日ゼェゼェ言いながらのたうち回ってたやつのする事じゃねぇだろうが!」
一応医師の許可を得ようとしたロジャーは、あっさり却下されてしまい懇願モードに切り替わった。クマラはその様子を見つつ、ダメならダメでいいぞという体制に入る
だがしかしロジャーは諦めきれず、一回だけと回数を指定するもクロッカスは頑なに首を縦に振らなかった。もう諦めろよとクマラに言われ、ロジャーはガックリと肩を落とす
「クマラは俺としたくないのか?」
「お前の体調の方が心配だからな」
「クマラ……!」
クマラにチョロいロジャーはクマラの言葉で気分を良くし、それなら仕方ねぇなぁとクマラを腕の中に閉じ込める。微動だにせずされるがままの様子を眺めつつクロッカスは深く溜息を吐いた
「もう慣れたか?ロジャーの奇行」
「慣れたは慣れたが、あれはまだ……」
「若い時からあいつらはああなんだ。うちの名物だな」
常に活気あるロジャー海賊団も、クマラが混ざればより活気溢れるものになるのは前々から同じこと。色んな船員に懐かれているクマラが船に乗れば、皆ウキウキでまずは宴をやろうとするのだ
古参ならばクマラとロジャーが“そういう”関係である事も把握している。少々形は異なるが、総意でカップル扱いだ
無論、クマラにガチ恋勢のシャンクスやバギーはこのことを知らない。彼らが船に乗り、物心が着いた辺りにはクマラは船にいなかったからである
知らない方が身のためだと、本気でクマラとロジャーの幸せを願うが為に恋に一線を引いているレイリーは思う。容易く諦められるような恋を彼らがしていないとわかるからこその、“経験者”からの気持ちだ
(……本気だと、狂うからな)
俺のように。そう心の中で付け足したレイリーは目を細めてロジャーとクマラの様子を見守った。レイリーにとっては狂う事で苦しみを紛らわせるという道にたどり着いたが、まだ若いあの二人がそれが出来るとは思わないのだろう