第13章 出会いと別れのログ
オーロジャクソン号の点検、修理も終わりロジャー海賊団はログが溜まり次第出航した。オーロジャクソン号の後ろで着いていく一回りか二回りほど小さな船を眺め、廃船島に居たアイスバーグは少しだけ寂しい気持ちを抱える
「たっは!!…っ!!…っ!!なんだアイスバーグ、気に入ったやつでもいたのか!」
「えっ、あ、うん……」
ぼんやりした頭でただただ見つめていたアイスバーグは、トムの言葉に反応が曖昧なものになった。それを見たトムは嬉しそうに「また会えるさと」と笑いとばす
すぐ会えない事くらい、アイスバーグも分かっているだろう。だからこそその時間を船に費やし、いつかクマラを安全に航海させるのだと、アイスバーグは力強く拳を握った
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W7を離れてから1ヶ月程が経ち、ロジャー海賊団一行は船体に特殊な加工を施し魚人島へと向かっていた。水辺ばっかりだと泳げないクマラはげんなりした顔でオーロジャクソン号の甲板で横たわっている
「強引でも突破すりゃ良かったんだ!クマラもこうなっちまったし」
「馬鹿。ただでさえ狙われまくる俺たちがマリージョアなんで通ろうとしてみろ。バスターコール並の戦艦が押し寄せるに決まってる。それに、魚人島には最初から行く予定だったんだ」
クマラの様子を見てギャーギャーと騒ぎ立てるおでんを、レイリーは宥めるように愉し「お前もあまり人目にはつきたくないだろう」と横たわるクマラに話し掛けた。一歩間違えれば賞金首のクマラは、まぁ確かにと小さく頷く
クマラがそれでいいなら良いと言いつつ、おでんはしょんぼり気味でトキの近くに座り込んだ。深海の奥深くへと行きつけば、流石のおでんも引き返そうなどとは口にしない
「にしても疲れた。何もすることがないせいだ」
「じ、じゃぁ……」
クマラの言葉にロジャーは過敏に反応した。暫くロジャーの体調が理由でクマラとの甘い夜はクロッカスから禁止されていた為か、何時ぶりだろうともう出来る前提で蕩けた瞳をクマラに向けている。クマラもその視線に気付き、海を眺め続けて身体がなまるよりは良いなと起き上がった