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平等な死などない【ワンピース】

第13章 出会いと別れのログ


「あんた、この船の持ち主か?」
「?」

少年との会話から数日後。夜遅くにクマラが自身の船の整備を軽く行っていると、口紅らしきものを付けたバンダナの少年が姿を現した。この少年は正真正銘、トムの元で働いていた彼の弟子である

「まずは名乗るべきじゃないか?俺はクマラだ」
「俺はアイスバーグ。……相当大切にしてきたんだな、その船」

トン、と船体に手を着いたアイスバーグは手入れが行き届いている船を見上げ目を細めた。クマラの背丈に合わせた船は彼基準の数人用の小さなものではあるが、アイスバーグにとってはとても大きなもの。これらをここまで大切に扱えるその操縦技術にも感服しているのだ

「これ、トムさんに見せないのか?」
「あいつはオーロジャクソン号で手がいっぱいいっぱいだろうしな。それに、船大工はあの男だけじゃない」

クマラの船が気に入ったのか中々離れないアイスバーグを他所に、クマラは整備を終えた為整備道具を片付け始める。完璧ではないにしろ、丁寧に整備された船はまだまだ航海できそうだとアイスバーグは見てわかった

「なぁクマラさん。オーロジャクソン号の点検が終わったら行くのか?」
「あぁ、俺もロジャー海賊団の一員だからな」

工具を脇に抱えてそう口にしたクマラに、アイスバーグはなにか考える素振りを見せていそいそと口を開く。その言葉は、未来へと歩もうとするもの達の力強い夢の、ほんの一部

「……俺の様な奴の船で満足できるか?」
「できる!というか、クマラさんの船を造りたい!!」

アイスバーグのクマラに対する気持ちは、“こんなに大切にしてくれる人の為に船を造りたい”というもの。物作りをする職人として修行しているアイスバーグは、大切そうにどんな物でも扱うクマラの為に船を造りたくなったのだ

クマラは少し考え、「この船を手放すことがあったらな」とアイスバーグの頭を撫でる。手放す機会は早々ないだろうが、自分が一人前になったときに最初に作りたいなと、アイスバーグは思いながらクマラの手の温もりに微睡むのであった
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