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平等な死などない【ワンピース】

第13章 出会いと別れのログ


「たっはっ!!…っ!!…っ!!久しぶりだなてめぇら!!」
「トム!!会いたかったぜ!!」

W7に着いたロジャー海賊団は、廃船島にてオーロジャクソン号を手掛けた魚人トムとの再会を果たしていた。シャンクスやバギーがトムに引っ付き、ロジャーが楽しげに語りかけているのを見てクマラは眩いものを見るように目を細める

「混じらないのか?あの輪に」
「俺はあいつを知らないからな」

遠くからその光景を見守っていたクマラにおでんが横に座り込んで話し掛けた。クマラは楽しそうなその姿に自分が入るのは場違いだろうと距離をとっているのだ

そんな中、輪の遠くで話していた二人にひとつの小さな陰が近付く。クマラはそれにすぐ気付き、グッと腕を伸ばしてその影の持ち主を掴んだ

「うわぁっ!離せ!この!この!」
「なんだ、ガキか」
「ガキじゃねぇ!」

じたばたと腕と足を動かしてこれでもかと暴れる少年に対し、どこかほっとけなさを感じたクマラはポスンと自分の足の間に少年を座らせる。いきなりの事で思考を停止させた少年だが、すぐ様我に返りクマラの顎に頭突きした

「凄い音鳴ったぞクマラ!」
「中々いい頭突きだ」
「褒めてる場合か!」

口の中は切れてないかとあたふたするおでんに対し、クマラはノーダメージの為頭突きをした少年は頑丈過ぎるその体にぽかんと口を開けたまま呆ける。その後、攻撃されてなお手を出そうとする気配がないため、コイツは害がないとすごすごクマラの横に座り直した

「お前あの魚人の所のやつなのか?」
「……違う。俺は一人だ」
「なんだ、見なし子なのか!うちの船長に口利きしてやろうか?」
「海賊ならいいよ!海賊に捨てられたばっかなんだ」

怒った様子でおでんやクマラから背を向ける少年に、「そうなのか」と子供に感情移入しやすいクマラはハンカチで目じりを拭った。そしてまた自分の足の間に引き連れ「俺の子になるか」と優しそうな顔で語りかける

少しだけ、ほんの少しだけ(この人の息子か)と考えた少年だが、海賊は海賊だと、今度は遠慮する形でそれを断る。悪い人間では無いだろうと考えた少年なりの気遣いだった
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