第12章 “鬼”の跡目の迷いと決意(映画のキャラが登場。飛ばし支障無)
あの後色々あったが、何とかロジャーの怒りを治めたクマラは夜になった現在、ロジャーと共にベッドに横になっている。クロッカスから一日くらいならと許可を得てロジャーが無理矢理ベッドに連れ込んだのだ
「ひでぇ……俺置いてバレットとデートかよ……」
「よく世話になってるやつの自室の備品選びに付き合ってただけだろ。アイツもそんな気持ちはないだろうし」
「分からないだろ!分かりにくいだけかもしれねぇ!」
わーぎゃーとクマラの頭の上で騒ぐロジャーに、クマラはため息を吐きつつちょっと黙れと頬に口付ける。クマラが息子達にやっていた事だが、急にキスをされたロジャーはプスプスと湯気を立てつつ顔を赤らめた
卑怯だ、狡いとクマラに呟きつつロジャーはそのまま頬を擦り寄せ瞳を閉じる。だからすまないと言っている、とクマラはロジャーの身体に腕を回して寝る体勢に入った。それを見守る気持ちで耳を立てていたレイリーも、二人が寝静まったのを確認し壁から耳を離す
「二人とも仲直りしたみたいだ」
「そうか」
レイリーの部屋に居るのは、昼間クマラと共に備品を買い巡っていたバレット。デートだのなんだのと思われていた事を知って少しばかりの羞恥が今バレットを襲っている
周りからすればそう見えたと副船長から追い打ちをかけられ、距離感を知っているはずなんだがとバレットは顔を隠した。そんなつもりはないにせよ、そう周りから見られていたという事実に恥ずかしさが湧いてくるのだ
「……もうお前の心配事も無くなった。眠れるんじゃないか?」
レイリーの言葉に片手を下ろしたバレットは、ありがとうと告げてそそくさと部屋をあとにする。レイリーはその様子を見て「あれは気づいてないタイプだな」と肩を竦めた。気付かないなら気づかないままでいいかと、クマラに想いを抱くレイリーは腰を上げて寝室へと向かう