第12章 “鬼”の跡目の迷いと決意(映画のキャラが登場。飛ばし支障無)
「お前ら!次の島に降りる準備しろー!」
「やったー!島だー!」
航海士の言葉で船員たちは大喜びで上陸の準備を始めた。クマラもロジャーやレイリー達に引っ張られ、マントを羽織り準備を進めていく
そんな中、バレットは先日の事もありクマラに近付く気配はない。いや、正確には近づく勇気がないと言った方がよいのだろう。あの時から妙な不安がバレットの脳内を掠め、クマラに近づく度にそのえも知れぬ不安は大きくなってしまうのだ
数時間後、船は港に着き船員たちは見張り番と食料調達班等で別れ始める。クマラはロジャーと共に島の聞き込み(という名の探索)を行いに行った。クマラが居なくなり、バレットも行動を自由にしていいと言われいそいそと島に上陸する
「……?」
暫く探索し、自室での備品を買っていると市場で一人っきりのクマラを見つけた。若い女に囲まれており、顔立ちがいいのだから持て囃されるのも無理はないとバレットは考える
だがクマラは少しウザったそうで、それでも自分より弱いただの一般人に強く手で払うのもしにくいのか困った様子であった。それを見たバレットは持っていた購入前の備品候補を元にあった場所にもどし、そちらに近付く
「おい、何をしてるんだクマラ」
「あっ、バレット」
バレットの姿を見たクマラはいい所に来たと女の波を掻き分けてそちらに近付いた。女達も、3m以上もあり尚且つ威圧してくるバレットの登場に顔を引きつらせてそそくさと逃げていく
その様子を見たクマラは「助かったよ」とバレットに感謝の言葉を口にした。威圧するまでもなく、顔が厳つく背丈の高いバレットが近づけばそれだけで面食いの女達は逃げていっただろうが、妙な気持ちがバレットを威圧させるまでに至った事は本人も気づいていない
「あぁ、そう言えばロジャーの奴がどっか行ったんだ。見てないか?」
「……いや、見てないな。迷子になったんだなお前」
「俺じゃないロジャーがだ」
クマラの発言にバレットは(ロジャー船長は迷子になるような人じゃないがな)と思いつつ口にはしなかった。ロジャーを探すついでに、折角ここまで近づけたのだからと部屋の備品選びを手伝ってもらう事に