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平等な死などない【ワンピース】

第12章 “鬼”の跡目の迷いと決意(映画のキャラが登場。飛ばし支障無)


バレットがクマラの観察を始めて1ヶ月が経過した。何度か敵海賊との戦闘をしたが、クマラの自分の怪我を顧みない戦い方にバレットは少しばかりの焦れったさを感じてきている。まるで傷つくのをどうとも思っていない様な戦い方なのだから心配にもなるだろう

「クマラ、自分の身体を大事にしたらどうだ」
「……お前からそう言われるとは思ってなかったよ」

甲板で体術の稽古をしていたクマラに、バレットは忠告する為に口を開く。その発言に表情が動かずとも驚いたクマラは、縁に掛けていたタオルを取り首に掛けた

「大事にするも何も、新人にも話さなかったか?俺の傷は回復が普通より速い」
「致命傷を負えばぽっくり死ぬクセに」

お前を思っている仲間の事を考えろと言ったバレットに対し、クマラはため息を吐き首を小さく横に振った。何が問題なんだといいたげなその表情に怒りを顕にしたバレットは、力強く拳を握る

バレットは基本仲間など信じるに足らないものだと思っている。そんな彼でも、時間が経ち共に過ごせば情くらい湧くのだ。何度か同じ部屋で寝て、楽しい時間を過ごせば尚のこと

だから少し自重して欲しかった。クマラはどんな怪我を負っても仲間の盾となり敵に隙を作り、そこを仲間に突かせる。囮があって成立する戦いなど、捨て玉同然だった過去のあるバレットは良しと思えない

仲間として、共に戦ってきた者としての警告。命に限りがあると実感している兵士としてのバレットからの心配の表れがこの言動だ。だがクマラは頑固なのか、頑なに自分の意思は曲げようとしない

「……勝手にしろ、もう知らん」

顔を顰めたバレットは、ドスドスと足を踏み鳴らして自室へと帰っていく。帰り間際に、ああ言えばわかったのか、あいつにはちゃんと心配なんだといえば伝わるのかと考え込んで一度曲がり角を突き進み壁に頭をぶつけた。仲間としての情がここまで俺を弱くさせるのかと、深いため息を吐きつつ
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