第12章 “鬼”の跡目の迷いと決意(映画のキャラが登場。飛ばし支障無)
クマラがロジャー海賊団に帰ってきてから一週間、空き室が無いためいつもの様にロジャーの部屋で寝る予定だったクマラは、現在とある男の部屋で寝泊まりしている。その男というのは……
「お前鬼の跡目なんて言われてるんだってな。かっこいいじゃないか」
「……そうか」
クマラの言った通り、“鬼の跡目”と呼ばれるダグラス・バレットである。ロジャーには事情があり一人で寝なければならないと言う話を聞かされ、それなら仕方ないとロジャーが寝ようと言うのを聞かずに適当に色んな所にお泊りすることになったのだ
最初こそロジャーが一番反対していたが、クロッカスという船医に怒られ意気消沈。その流れで、まずは一番クマラの目に入りやすい背丈のバレットが選ばれた
「……」
バレット本人も自身のベッドでは無く、ソファーの方にクマラが寝ている為不満はない。ただ、さぁ今から寝るぞと言う時にロジャーの見せた嫉妬の眼差しに疑問を抱き続けている
やはりただの親友じゃないのか。そう考えていると眠気など吹っ飛ぶ訳で、クマラがすやすやと眠る寝息がとても羨ましく感じてさえくる。バレットは一旦落ち着くべきかと起き上がり、部屋をあとにした
「……はぁ」
首の後ろに手をやりつつ、月夜に照らされた甲板へと足を踏み出したバレット。そこには先客がおり、月見酒をしていると分かるとその近くに歩み寄った
「こんな時間に月見酒か、副船長」
「ああ、そんなところだ。お前はこんな時間にどうした?バレット」
「眠れん」
「なるほど」
俺もだ、とバレットに返したレイリーはコクリと酒を飲み横目でバレットを見る。まるでどうして眠れないのかわかっているような顔つきで、だ
心でも読めるのかと口にしたバレットに対し、レイリーは「そんなまさか」とカラカラ笑う。どうやら先程からとある理由で眠れない“新人”達がよく甲板に足を踏み込んでいるのだそうだ
「全員クマラの事で眠れない様でな。まぁ、一番はロジャーとの関係性な訳なんだが」
「それ以外に気になっている奴がいると?」
バレットの言葉にレイリーは目を細め「それは俺だ」と少しだけ残った酒を飲み干す。予想外の返答にバレットはただただ目を丸くさせた