第12章 “鬼”の跡目の迷いと決意(映画のキャラが登場。飛ばし支障無)
「クマラ~!」
「おぉ、ロジャー!」
クマラはビブルカードを使い、親友であるロジャーの元へ船を動かしていた。数ヶ月と時間は掛かったが、二人はしっかり無事に再会を果たす
「お前~!なんで海軍なんかに居たんだよ!」
「資料目当てでな。別にお前が嫌になったとかではないから安心しろ」
「うぅ~、寂しかった~っ!」
いい歳した大人が自分より若い見た目の男に抱き着き、まるで恋人の様に接するのを見てクマラを知らない船員は目をまん丸とさせた。ロジャー海賊団の副船長、レイリーは騒ぎを聞き付けて甲板にあがり、クマラの姿を見て少し嬉しそうに肩をすくめそちらに近付く
「ロジャー、新人が可哀想だから説明もなしにそう対応するなよ?」
「あっ、そうか。お前らは知らんのか!こいつは俺の親友だ!」
クマラの肩を抱きピースサインする船長に、今ので?と新人は余計に首を傾げた。レイリーも親友のはずだが、そのレイリーとは距離感があまりにも違い過ぎるのは子供の目で見てもわかるもの
絶対嘘だぜ、と赤い髪の少年と帽子をかぶった少年はコソコソと話し始める。それにロジャーは気付くが、これからまた我慢しなくていい日々が来たということもあり、態々口で言わずともこの船乗ってりゃ分かるだろと話さなかった
「あっ、そういえばお前なんかいい香りするな。女とは違うけど」
「柔軟剤の香りだろ」
肩に回していた手を退けマントに顔を埋めるロジャーに対し、先程の自分の言葉に貰い物と付け足してクマラはロジャーから離れようとした。無論久々の再会ですぐ離す訳もなく、手を握って手放さない
古参の船員はカップリングが元に戻ったとほんわかしているが、新人の船員はただただ首を傾げて親友の距離感とはと頭を抱える。その中には、3m程にもなる男も混じっていた
(あれで親友?ロジャー船長の親友の定義がわからんな……)
男は顎に手を置きつつロジャーとクマラの距離の近さに目を疑った。ロジャーからの一方的な愛情表現もそうだが、それを諸共せず平然と返しているクマラにも訳が分からなくさせている要因がある
隠し事は基本しないロジャーだからこうなっているのか、それとも相手は本当に親友だと思っているからなのかは男には分からない。船長の調子が良いならそれでいいかと、男は目を逸らした