第11章 この気持ちを愛する貴方へ(※)
「お前さん、あと二人待ってるってこと忘れてないか~い?」
〈す、すまん……〉
人気の少ないこじんまりとした噴水の前で、ボルサリーノはサカズキに文句の連絡をいれていた。この前にクマラへとここに来て欲しいと連絡している為、先程やっと出てくれた事でサカズキが独占した事を理解している
「お前さんだけじゃないんだよォ~?玉砕覚悟でクマラさんに告白するの~」
〈すまん言うちょるじゃろうが……そうネチネチ言うな〉
「こちとら時間が無いんだよ~」
貰った休憩時間は二時間。準備に1時間使い、残り一時間で三人回る形で告白する予定が組み込まれている。クザンはまだ心の準備ができてないということで、ボルサリーノが二番目に告白することになった
そこで問題なのがサカズキがクマラを少し独占した事。クザンも頃の準備が出来たと先程連絡を寄越してきたため、早く回さなければクザンの休憩時間を越してしまう可能性がある
そんな中、サカズキの「そろそろ着くんとちゃうか」という発言の後ボルサリーノが電伝虫から目を逸らし上を向く。そこには帽子の位置を正しているクマラが立っており、焦ったボルサリーノは勢いよく電伝虫の通話を切って懐にしまう
「はっ、速かったですねぇ~クマラさん」
「剃使ってきたからな。待たせる訳にはいかない」
ボルサリーノにとって男前な発言にキュンと胸が締め付けられつつ、ボルサリーノは当たり障りもない告白を口にした。クマラはサカズキと同じように返答し、ボルサリーノもやはり気持ちは受け取って欲しいのか花束を渡す
「……普通の薔薇より色が濃いな。それにこれは紫色と黄色か?珍しい」
「わっしの気持ちですよぉ~」
ニコニコしつつ、花束を抱えるクマラの姿をうっとりとした表情で見つめるボルサリーノ。紅色の薔薇には“ 死ぬほど恋焦がれています”、紫には“尊敬・玉座”、薄い黄色と濃い黄色でドット模様の様には配置される物には“君を忘れない”という意味が込められているのだ
ボルサリーノにとってはこの想いが初恋ではないが、だからこそ以前の恋が薄れるほどの想いであることは承知している。全てを捧げて、支配されてしまいたくなるこの想いを、簡単に忘れてしまえるわけが無い
(ずーっと、待ってますよクマラさん……)