イナズマイレブン-狼たちは狂犬を愛し喰う-オリオンの刻印
第1章 -
「では逆に聞きますけど、彼女は貴方たちの仲間にいつなったのですか?彼女が貴方たちを仲間だと言いましたか?言ってませんよね~?彼女は基本、群れるようなことはしません。まさに一匹狼!そんな彼女が貴方たちを仲間だと思っているでしょうか?貴方たちを信用しているでしょうか?そ・れ・に・!この中で誰も彼女のことを止められなかったのですか~?」
「そ、それは・・・」
趙金雲の言葉に、風丸は返す言葉が見つからなかった。
折角彼女をこちら側につけることに成功したというのに、誰も彼女を飼い慣らせないのでは話になりませんね~。」
「それってどういう・・・?」
「おっと、おしゃべりが過ぎました。それでは皆さん、私はこれにて失礼しま~す!」
趙金雲はまた気になる言葉を一つ残し、去っていってしまった。
「結局、監督を呼んだ意味ありませんでしたね。」
「そうだな。それより砂木沼、殴られたところは大丈夫か?」
「ああ。」
砂木沼の方を見ると既に手当てが施されており、マネージャーの大谷つくしと神門杏奈は、砂木沼に替えの湿布を手渡すと持ち場へと戻っていた。
「ヒロト。」
「なんだよ?」
「ヒロトは獣都さんのことどう思う?」
基山は神妙な面持ちで、吉良に尋ねた。
明らかに今一番、獣都が信用している人物は吉良だ。それは基山だけではなく、ここにいる全員が思っていることだった。
「どうって、犬?」
「い、犬?」
予想外の言葉に、基山は間抜けな声を漏らした。
「俺、梅のこと探してくるわ。」
そう言うと吉良は基山たちに背を向け、グラウンドから出ていった。
「犬、か。確かに獣都さんって犬っぽいよね。」
「言えてるな。しかしあの女を躾けるなど、世界大会優勝並みに難しいのではないか?」
「そうだな。でももし、獣都を従わせることができたら・・・」
「相当な戦力になるだろうな。」
「それはそうですけど、まずはあの喧嘩っ早い性格をどうにかしないと・・・それに今回は砂木沼さん相手だったからまだ良かったものの、もし対戦相手や一般人相手だったら俺たち全員に関わってきますよ~!!」
坂野上の言葉に全員がビシッと体を硬直させた。
確かにそうだ。もし暴力沙汰など起こそうものなら、確実にその責任は獣都だけではなくチーム全体にも影響を及ぼすだろう。そして最悪の場合、試合の出場停止、などということも考えられる。
