第110章 *終曲ディアソムニア*
リリア『おっと。こちらから呼び出しておいて、そっちのけにしてすまんな。おぬしには改めてちゃんと礼を言わねばならんと思っておったんじゃ。のう、マレウス?』
マレウス『ああ...レイラ、こちらへ』
向けられた視線に笑みを深めると、徐ろに腕を広げ甘い声で誘う
『ーーーっ..』
久しぶりの再会に感情が溢れ出し飛び込むと、少し苦しさを感じる強さで抱きしめられる。広い背中に手を回し、他とは違う魔力の匂いを胸いっぱいに吸い込むと、くすぐったそうに喉を鳴らし優しい手つきで撫でられる
『会いたかった、ツノ太郎。シルバーさんから2人は元気だよって教えてもらってたけど、あれから全然会えないから、本当に元気なのか分からなくてすごく怖かった..』
マレウス『すまない。リリアはともかく、僕は復学が決定するまで学園には近づくことができなかったからな。お前には随分と寂しい思いをさせた』
『ぐすっ..ぅぅぅ..』
マレウス『..僕もお前に会いたかった。嘆きの島の番人たちに検査されている間も、茨の谷にいる間も、ずっとお前のことを考えていた。この手でまた触れたいと何度も願い、そして今宵この場所でそれは叶った』
『ぅぇぇぇっ..ぅぁぁぁっ..!』
止めどなく溢れる涙を拭って柔い頬を撫でると、服を掴んでいた力が強まり止むどころか、更に大粒の涙を流し始めてしまう
自分に会えた喜びで泣き崩れてしまう小さなヒトの子のいじらしさが愛おしくてしかたなく、服が濡れるのもいとわずまた強く抱きしめた
リリア『これ、マレウス。なにを泣かせとるんじゃ。可愛い小兎が泣かされたとあれば、こやつを溺愛しとるやつらが怒りの炎をあげて襲ってくるぞ?』
マレウス『ふっ。それは恐ろしいな。だが、誰の炎だろうと僕の吐くそれには匹敵しないだろう?』
自信に満ちた笑みで鼻を鳴らすマレウスに、やれやれと呆れながら再会を喜ぶ姿を眩しそうに見つめる。想い合う2人の再会を嬉しく思う反面、胸の奥に燻ぶる黒い感情が妬ましいと嘆く