第110章 *終曲ディアソムニア*
何より、シルバーがマレウスやリリアの大切な人の仇の子だというのなら、自分たちもまたかつて彼の両親の敵。後ろめたさがあるのはなにもシルバーだけではなかった
リリア『それをお主に背負わせるなど...』
シルバー『....ははっ』
顔をしかめるリリアに小さく笑い声が漏れる。いつもゲームだの文化だの、自分よりも常に新しい情報を仕入れてくるくせに、そんな父親が見せた長寿の妖精らしい頭の硬さに笑みがこぼれた
シルバー『ああ、そんなところだけ古いんですね、親父殿。あれからもう4世紀ですよ』
セベク『シルバーの言う通りです、リリア様!今や愛さえあれば、妖精と人間は家族になれる時代なのですから!』
妖精と人間。かつていがみ合っていた異なる種族が時を経て愛を育み、そこから生まれた混血のセベクだからこそ、その言葉の重みや説得力はこの中の誰よりもあった
この現代においてもはや種族の違いなど些細な壁。本人や周りが強く望めば生涯を共に過ごすことも、家族の契を交わすことも何らおかしくはない
リリア『そうか....愛があれば、家族になれる時代か。はははっ!』
種族の違いや隔たりを誰よりも恐れていたのは自分だったのかと自嘲気味に笑うその目にはもう迷いはなかった
そんな両者の思いと願いを聞き届け、マレウスは小さく頷きこの場にいる全員に向けて高らかに宣言した
マレウス『皆の者、どうか聞き届けてほしい。今日、喜びのこの日。茨の谷の領主、ドラコニアの名において...リリア・ヴァンルージュと、その息子、シルバー・ヴァンルージュを...
真の親子として、ここに認める!』
その宣言にリリアとシルバーの目には僅かに光るものが見え、心からの笑顔が夜を照らさんばかりに輝く。この宣言で2人の関係が特別変わる訳では無いが、リリアの姓を貰い大勢の前で本当の親子として認められたことが、両者にとって何よりの喜びだった
マレウス『お前たち親子に、夜の祝福があらんことを』