第110章 *終曲ディアソムニア*
マレウス『しかし...称号だけで十分だとお前は言うが、それでは僕の気がすまない。他に欲しいものはないのか?』
シルバー『...欲しいもの..ですか』
マレウス『僕にやれるものなら、何でもやろう。言ってみるがいい。
今日はお前の18 歳の誕生日だろう?』
シルバー『あ...そういえば、もう0時を過ぎたから...』
マレウス『お前に贈り物をするのにちょうど良い日だと思い、この夕べの日取りをリリアと共に決めたのだ』
思い出したようにハッとしてマレウスとリリアを交互に見ると、優しい眼差しで誕生を祝う慈しみと、自分が何を願うのかを心待ちにする期待に満ち溢れていた
マレウス『ほら。皆、お前の言葉を待っているぞ』
いきなり欲しい物を問われた上に軽く急かされ、戸惑う脳内で何かないかと振り絞って考え込む
自分の欲しい物 願うもの
普段からあまりそういう欲を持たない自分が、今この時だからこそ求める願いは何なのかと考えると、ふとあることを思いつきマレウスを見やる
シルバー『1つ、思いついたのですが。これはマレウス様から賜われるものでは..』
マレウス『?』
首を傾げるマレウスと同じく何も分からないといった様子で見つめるリリアに意を決して、強く拳を握り2人に改めて向き直り、最も欲しいと思う願いを口にした
シルバー『...もし。もし、叶うなら...
ーーーーーヴァンルージュの名を』
リリア『えっ?』
シルバー『仇の子である俺には、身の程知らずの願いであることは百も承知です。でも、もし...許されるなら、どうか俺を、親父殿の本当の息子に』
リリア『シルバー...
ヴァンルージュの名は、かつて武勲をあげ女王陛下から賜ったもの。この名に含まれた赤が意味するものは、あまりにも腥い。お主には似合わぬ。
18歳を過ぎたら、お主はあの森の奥の小屋を出て..もっとお主にふさわしい居場所と、名を手に入れるべきだとずっと思っておった』
本来太陽の祝福を受けるはずだったシルバーには血に塗れた自分の名よりも、明るく清廉な道を歩ませるつもりだっただけにその願いだけは首を縦に振れなかった