第110章 *終曲ディアソムニア*
手を翳し魔力を込めると2人の体を光が包み込み、夜の城内を眩く照らしていく。やがて光が収まり目を開けると、体に伸し掛かった重みと共に、シルバーはあの夜明けの騎士の鎧、セベクは茨の国の王宮近衛兵の鎧に身を包んでいた
シルバー『こ、この甲冑は..!』
セベク『マレウス様との戦いで、ボロボロになってしまったはずでは?』
マレウス『茨の谷の腕利きの職人に修理させた。嘆きの島の番人たちが仕込んだという、からくり細工までは再現できなかったがな』
リリア『その甲冑は此度の戦いのため、バウルがかつての近衛兵たちに呼びかけ、国中からかき集めたミスティウムで作られた。
武具の出番など、この先2度とない方が良い。じゃが...ミスティウムは今の時代、め〜っちゃ貴重で高価な金属じゃからな!溶かして売れば、豪邸の1軒や2軒軽く立つぞ。へそくり代わりにするが良い』
『『絶対に売りません!!』』
マレウス『ふふふ..そして、もう1つ。女王マレフィシアに代わり、貴殿らに茨の谷の騎士の称号を授ける』
『『えっ?』』
セベク『ぼ、僕らが..』
シルバー『騎士に..?』
王宮に属する者にとって大変な栄誉であり、2人の幼い頃からの目標でもあった"騎士"という称号に、嬉しさよりも戸惑いと実感のなさが表立ち一瞬思考が止まりかける
すぐに我に返り居住まいを正しその場に片膝をついて頭を下げると、マレウスはその距離を詰め最初にセベクへと勲章を捧げた
マレウス『まずは..セベク・ジグボルト。春雷の如き雷迅は冬の静寂を切り裂き、全ての者の眠りを醒ました。
貴殿に"雷光の騎士"の名を授ける』
セベク『あ....ありがき、幸せ...!』
これ以上ない栄誉に内側から溢れる歓喜に声まで震え、瞳には滲む雫が今にも零れ落ちそうになっていた
マレウス『次に、シルバー。夢の狭間に迷う者たちを月のごとき光で導き、真の正義を貫き通した。
貴殿に"夢幻の騎士"の名を授ける』