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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第31章 避けられる



一方、その頃のヴィオラは





スタスタスタ


「んもう、気が気じゃないわ…」



広間から逃げたあと

目的地も定めず、ひたすらに廊下を歩いていた






数日前のことを思い出して、顔が真っ赤になる




何もかもが鮮明に思い出された



羽を触るような、優しい手も

自分の名を呼ぶ、低い落ち着いた声も

柔らかく笑った表情も

見つめられた時の、熱のこもった目も




『もう大丈夫だよ』



全てが、さっきの事のように頭に浮かべられた


「〜っ」


胸がまだドキドキする

顔が熱くてたまらない



「はぁ、落ち着かなきゃ」


顔をペチペチ叩いて熱を冷まそうとする

だがなかなか収まらない



必死に熱さを冷まそうとしていると、前方から誰かが来るのが見えた



「ルーピン先生?」

リーマス・ルーピンだ

何やらたくさんの書類を抱えている
それはルーピン先生の背丈を超えるほどの多さで、ヒラリと紙が落ちてしまっていた

落ちた紙を拾う

「ルーピン先生、これ」
「あぁ、ありがとうヴィオラ」

ルーピン先生はぎこちない笑顔で受け取り、そのまま早歩きで去って行く
笑ってはいたが、目を合わせてはくれなかった
しかも、来た時よりも早い、走っているような速さでどこかへと向かう


これは


もしかして



「いやいや、そんな事ないよ」

そういいきかせて、自分を誤魔化した




「おや、Msマリエレンダ」
「フリットウィック先生!?」

声をかけられる
振り返ると、相変わらずの小柄なフリットウィックがいた

こちらもまた、何やら大量の書類を持っている
しかしフリットウィックの場合はやはり背丈が人間に比べて小さいので、呪文で紙を浮かせていた
が、大量の書類は、浮くことによってかさばってしまっている

その中を、フリットウィックはちょこちょこ歩いていた


「今日も可愛らしい歩き方ですね」
「ありがとうマリエレンダ、ところで、私の眼鏡を知らないかね?」
「……………ここに」

フリットウィックに聞かれたので正直に答える

眼鏡は、フリットウィックの頭の上だ




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