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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第30章 銀の花の闇




「泣かないで」
「………セドリック」







セドリック・ディゴリーが、目の前にいた







「大丈夫?」
「ふ…」
「?」
「グズッ…ヒック…」
「!? だ、大丈夫だから」
「ヒック……ぅあぁぁん!!」








ただただ泣いた

何もかも忘れて、彼の腕の中で泣き続けた





そのあと、どうやって帰ったかは覚えていない

シリウスもクルックシャンクスもいなかったのは、あとから気付いた








次に意識がはっきりしたのは、医務室だったから

























「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます、マダム・ポンフリー」
「いえいえ
ディゴリーがいて良かったですね」
「あはは……」

医務室のベッドで、温かいココアをいただく

ほっとする空気のおかげで少しだけ落ち着いた


どうやら、セドリックがここまで運んできてくれたようだ



申し訳なさで心がいっぱいになる




ダンブルドアとマクゴナガルが心配そうに言ってくる

「ヴィオラ、怪我はないかの?」
「はい、大丈夫です」
「あぁ、安心しました
ボガートに遭うとは災難でしたね、もう少しゆっくりなさい」
「はい…」


もう、本当に厳重と言う言葉が似合うほど厳重に匿われている
これは大袈裟なんじゃないかと言うほどだ
しまいには掛け布団を被らせられているのだから


「幸いじゃったの
彼が薬草を取りに行っておらねば、君は戻っては来られなかったじゃろう」
「本当にごめんなさい」
「よいよい、無事ならばそれで良いのじゃ」
「ごめんねセドリック」
「大丈夫だよ、僕も、君が無事でいたならそれでいいから」


セドリックは優しく微笑んでくれる

でも、その笑顔に答えられない
一緒に勉強する時も、クィディッチの時も、セドリックに助けられているような気がするから
それもあって、本当に彼には申し訳なかった



しばらくして、マクゴナガルが言う

「それでは、ディゴリーは帰りなさい
監督生になって色々忙しいでしょう」
「分かりました」

そう言って、セドリックはこちらに「またね」と言って帰ろうとする



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