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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第30章 銀の花の闇



「ワン!!」

シリウスが吠えるが聞こえない


今、ボガートはヴィオラの最も恐れるものになろうとしているのだから







次の瞬間、またボガートは変身する



「母さん………?」

『なんで、あんたが生まれたの?
そしたら死ぬこともなかったのに』






母だった

交通事故で死んだ

麗乃の母


顔が見えなかったが、自分には分かる

これは、母なのだ





『命を返せ
人生を返せ
返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、返せ』

「う…あ」



辺りが闇に包まれる

ヴィオラの周りは黒


シリウスの姿が見えない

クルックシャンクスもいない






闇の中に、ひとりぼっち









「やめてッ…………
やめて!」

『ヨコセ………魂……』

「近寄らないで!」

『魂……オマエの魂…』

「ッ!」

『俺ハ死だ………私ハ死だ………
お前の魂を喰らう「死」だ
ヨコセ、ヨコセ』

「うぅ…………」






頭が割れそうだ

痛くて痛くてたまらなくて



『ニゲラレナイよ
死との制約からは、のがれられない
私は…あなただから』




闇から声がする

でも、聞きたくなくて




うずくまって、耳を塞ぐ





『ヴィー
約束だよ』

「………ぅあ……トム…?」

『僕達はずっと……』




(何………?)










『リディクラス!!(馬鹿馬鹿しい)』





あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!







けたたましい音が鳴り響く


目を閉じているので何が起きているのか分からないが、誰かが来てくれたのが分かった



でも、ヴィオラは気付かない

闇に一人取り残されて、迎えが来たことに気付かない










「……ラ……ヴィオラ!」
「やめてッ!」
「ヴィオラ!僕だよ!」
「ッ!」
「はぁ……はぁ……」
「う、あ…………」
「落ち着いた?」



目の前にいる人物を見つめて、呆然としてしまう

さっきまで黒の中にいたのに、夕暮れに照らされて自分を見つめるのは、思ってもみなかった人間だったから




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