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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第29章 悲しい偽り



有り得ない話を淡々と続けて聞かせてくる

「生も死もない」なんておかしな話だ
なのに


「っ………」


おかしな話なのに

胸に妙な嫌悪感が渦巻いていた




『ずっと考えていた、お前はどこにいるのか
片割れは一体どこに隠れているのか
だが分からない
俺には分からない
だからお前じゃなけりゃ見つけられない』

「…その話が本当だとして、どうして見つけなきゃいけないの?」

『そのままじゃお前が死ぬからだ』

「………」

『もっと詳しくいえば、「お前という存在」が死んでしまう
どこかにいるもう1つをお前自身が取り込まなければ、一度死んだお前は再び塵に戻る
それはどうしてか?
なぜなら「ヴィオラ・マリエレンダ」を生み出した片方は、既に死んでいるから』

「………」

『辛うじて片方のお前は転生し、「死」から逃れたようだが、「死」はお前を狙っている
ちょっと刺激すれば、すぐにあの世行きになる存在だから』

「やめて………?」

『もうそれはお前だけの肉体じゃない
どこかで帰りを待ってる片割れがいるんだ
だからもう一人を見つけろ』

「やめてっ」

『そうじゃなけりゃ「死」に魂を取られる
お前からは独特な感じがするからな、それが奴の好物なんだ
それに、あいつを回避しなきゃ、救える命も救えない
お前のボーイフレンドも死ぬことに……』

「やめてって言ったのよ!!」

『おわっ!』



ガタン!!



ルブリスが椅子ごと吹き飛んでいく

壁にバン!と打ち付けられて、コップや本が床に落ちてしまう


「はぁ、はぁ…」


呼吸が荒くなっている
何故か分からないが、この話は嫌いだ

自分でも、攻撃的になっているのが分かった


ルブリスが起き上がって言う

『あ〜、ったく、ぶっ飛ばすことねぇだろ?』

「っごめん」


心を落ち着かせる
怒りや、不安や、よく分からない感情を抑え込むように、胸の辺りを抑える

『……………………』

「ふぅ………」

『落ち着いたか?』

「うん、平気」

『…………………』


何か言いたそうだ

だが、聞くことは出来ない
そんな余裕はない



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