第2章 出会い
蕾side
渉に連れられ、少し離れた広間に案内される。そこには派手な髪色の美青年が3人。
渉が代わりに紹介してくれている今、3人からの視線が痛くて仕方ない。
蕾(めっちゃ見られてる…)
渉が言っていた「紹介したい奴ら」というのはこの3人だとすぐにわかったが、それにしたって美人すぎないか。
蕾(それより、渉は女性が苦手なん?なら、何でうちを拾ったん?)
浦「…蕾?どうした?」
自分でも気付かないうちに渉の裏に隠れていたようで、着物を摘まんでいた指に力が入っていた。
蕾「あ、ううん。何でもあらへんよ」
浦「そうか。じゃ、若紫から順に自己紹介してやって」
「俺か」と言って頭を掻く紫色の目と髪の男性。
志「俺はここの花魁の1人の若紫。よろしく」
左目元の泣き黒子が色っぽく、長い紫の髪に混ざる白い髪がエキゾチックな若紫さん。
しかし、何処と無く冷たい印象を受ける。仲良くなれるまで時間がかかりそうだ。
坂「俺は挿頭!俺もここの花魁やっとる!仲良ぉしてな!」
真っ赤な髪と同色の瞳をキラキラと輝かせている。高身長とその風貌に加え可愛さも併せ持ち、天真爛漫がそのまま擬人化したみたいな挿頭さん。
この人とはすぐに馴染めそうな気がする。
千「僕は早百合言います。この2人と同じくここの花魁やってます。よろしくね」
左だけ長いアシンメトリーがよく似合い、髪と同色の瞳は切れ長に縁取られ色っぽい。纏う雰囲気も他の3人とは別格。
京都弁交じりではんなり美人の早百合さん。近付き難い雰囲気があるが、京都弁に親近感が湧く。
ほへーと3人を眺めていると、渉に小突かれる。
蕾「あ、葵蕾です。さっきの紹介にもあったように、渉の付き人として働く事になりました。えっと、遊郭の事はよく知らないので、これから少しずつ覚えます。よろしくお願いします」
噛まずに言えたが、捻りも何もない自己紹介になってしまった。いや、ここは捻らない方がいいのか…?と考えている蕾に挿頭が近付き、その両手を握って美しい顔を近付ける。
坂「なぁなぁ、俺も名前で呼んでもええ?俺、君と仲良くなりたい!あ、そや!俺の事も本名で呼んでや!見た感じ俺ととし近そうやし、それにうらさんだけズルいもん!俺の本名は「坂田 優」!優って呼んでや!」
蕾「え、えっと…優君…?」
坂「うん!」
暖かな嵐がやって来た。