第3章 お仕事
夜を迎え、道行く人の数も増え出す頃。
花街の灯りは一層輝き出し、雰囲気の良い三味線や笛の音が微かに聞こえてくる。
蕾(何この状況)
あの和やかな支度から約1時間経った今、花魁道中で今夜の馴染み客を迎えに行って帰って来たまでは良かった。問題はその後だ。
座敷に客を通して花魁達も揃い、食事も出揃った瞬間に宴会に一変した。どゆこと。
千「オイ、飲んどるかー!?」
?1「飲んでますよセンラさーん!」
?2「そう言うセンラさんもお酒なくなってますよ。お2人分の水割り焼酎作ってあげますね」
?3「良かったじゃん2人とも。特別仕様だよ」
千・?1「え」
坂「なぁなぁ、そこのエビ取って〜」
?4「坂田君は甘えんぼさんでちゅね〜。は〜いどうぞ〜」
坂・?5「うわキモ」
?4「酷くない?」
?6「ハイまたワシの勝ち〜!www若紫ほんま花札弱いなwww」
若「うっさいわwwwそんな事よりいつなら夜の相手してくれるん?www」
?6「ワシはその気がないから永遠にないな〜www」
若「うわぁーwwwそら残念やーwww」
?7「うらた〜ん」
渉「乗るな重い酒臭い死ぬ」
?7「ここのお酒美味しいんやもん〜。あ、これなに?」
?8「どう見てもお前が飲んだ酒のカラだろ」
渉「飲みすぎ」
雅とは。優雅とは。花魁とはなんぞ。
まじ宇宙猫(?)
同じく、部屋の四方の隅で待機している禿の男の子達をちらっと盗み見るも、誰一人として顔色を変えずにそこに座っている。慣れきっているというより、悟りを開いているように見える。
きっといつもの事なんだろう。
蕾(うち、部屋に帰ったらアカンかな。渉怒るかな)
そう思って今度は渉の方へと視線を向ける。千良よりも大柄な人に潰されそうになっている。
部屋の隅、右の斜め後ろで座っているから余計に渉には気付きにくい。
蕾(これは暫く無理やろなぁ)
視線が下がると同時に気分もしょぼんと下がる。
蕾(今日出会ったばかりの人に寂しさを感じるとか)
?6「なぁなぁ」
蕾(自分で思っとるより疲れとんのかな)
?6「おーい」
蕾「ふぇっ!?あ、はい!何でしょう!」
?6「ふぇってwww」
まさか渉達以外に話しかけられるとは思っておらず、気付くのが遅れてしまった。
てか、このボーイッシュな女の子誰?めっちゃ可愛い。めっちゃ笑ってる。え?どちら様?()