【文アル×FGO】誰ですか、図書館に賢王様を呼んだのは?
第1章 多忙な日々
「雑種」
声が硬い。いつもは(英雄王と比べれば)優しい賢王の声を怖いと思ったのは久しぶりだった。
「貴様、カルデアに帰らず何日になる?」
やばい。この声はホントに怒ってる。
実を言うと、もう二週間カルデアには帰っていなかった。
だって無事に人理修復出来たし、最近はトラブルもなくカルデア全体が安定してたし、その一方で図書館は大忙しだったし──。
心の中では言い訳がいくらでも思いつくのに、口には一つも出せない。俯いたまま、次は何を言われるかと身構えてしまう。
「皆、心配しているぞ」
突如切り替わったその優しい声音に私は思わず顔を上げた。だがその時には、既にギルガメッシュは文豪たちの方を向いていた。
「さて、雑種への説教はこの辺にして、いい加減貴様らにも然るべき説明をせねばなるまいな」
いつもの声に戻ったギルガメッシュが淡々と語り始める。
「貴様らも知っての通り、雑種は多忙を極めた身。カルデアが安定している今、こちら側に異常が発生したなら、張り付いていなければならないのは仕方のない事だ。だが、雑種はあまりに帰らなすぎた」
ちらりとこちらを見るギルガメッシュ。
「どれだけカルデアに帰らなかったと思う。二週間だ。俺もかつては目の回るような忙しさを経験したゆえ、帰れないというのは分からんでもない。だが、雑種を心配するサーヴァントも多くてな。仕方なく我が迎えに来てやったのだ」
ギルガメッシュが長い脚を優雅に組む。
「どうやって来たかと聞いたな。簡単だ。カルデアとこちらを繋げた。まさかあの無の世界が本の中とは思わなかったが、無事に雑種のもとまで辿り着くことが出来た」
我の計画では雑種の目の前に華麗に顕れる予定だったのだがな、とギルガメッシュが愉快そうに口の端を上げる。
「以上だ。まあ端的に言えば──あまりにカルデアを放置し過ぎた雑種を迎えに来た」
と、今まで黙って聞いていた横光が口を開いた。
「一つ聞きたいことがある。あなたは──何者なのだ」
ド直球! 私はお茶を吹き出すのを懸命にこらえた。
「ほう。我を知らぬと申すか」
長話が始まりそうな気配を察知した私は「そういう事じゃなくてですね!」と割って入った。
「横光が言いたいのは、その……」
私はちらりと川端を見た。
分かる。分かるよ、横光。言いたい事はよく分かる。
