第1章 きっかけは勘違い(前編)
確か八軒くんの手伝いをしてて優しいなって、でも貸しは返してもらうのが西川くんらしいねって。
それで、私は無償で手伝ってる事について好きだからって答えて……え、まさか私が(描くのが好き)って言ったのを勘違いしてる?
「あ、あの西川くん!」
変な誤解は解かなきゃ。
西川くんは珍しく話も気も合う男友達なのに、ギクシャクするのは嫌だと言いかけた私の手をペンキまみれの手で握りしめた。
「俺も、の事が好きだ。よし、両思いだしつき合おう」
えぇ! ちょっと待って、こんなの西川くんのキャラじゃないよね。いつもの「ニコたん萌え~マジ天使! 俺の嫁!」ってのはどうしたのさ。
「に、西川くん。でも西川くんにはニコたんという嫁がいるじゃない!」
「ニコたんはニコたん、はだ! 二次元はニコたん、三次元は!」
駄目だこの人、真顔で言い切った。でもこれでこそ西川くんって気もするんだよね。
どうしよう。勉強と実習に必死で恋愛とか考えた事なかったのに、しかも相手はそういうのから一番縁遠い西川くん。
いや、男友達としては一番近いんだけど、恋愛対象としては背中合わせになってるくらい対象に入っていない。