第6章 生きる意味を~数年後の自分~
「もう一度聞こう。この立体起動装置はどこで手に入れた?」
「憲兵団のを奪ったのよ!訓練兵団には入ってない!独学よ!」
感情的になっているレスタが必死に叫んでいるというのに団長と呼ばれる男は表情一つ変えない。
「少しでも早く、このゴミ溜めから出るためにね!あんたらみたいに楽に生きていけるようなところじゃないの!いいから、から手を放しなさいよ!」
先ほどから、すごい力で引っ張られていた髪が解放された。
何本か抜けた上に、血が出ている。
「…きたねぇ手で触るな」
「リヴァイと同じようなことを言っているんだな」
「え…?リヴァイってまさか…!あなたの「やめてくれ!違う!絶対に違う…」
数年前のことが頭をよぎる。
怖い、怖い…
「それで、捕まえて私たち達をどうしたいの?取り締まるのは憲兵団の役目じゃないの⁉」
「あぁ、憲兵団では捕縛することは不可能だ。それに、調査兵団には君たちの力が必要でね」
口だけ笑っている。
「調査兵団に入団しろってこと?」
「そうだ」
「…オレはいかねぇ」
震える声で何とかつぶやいた。
「君が来てくれないというのなら、君のお仲間は憲兵に引き渡す。憲兵団のもとに行けば、人間と同じ扱いをされることは望めないだろうね。死にたくなるような毎日が、待っていることだろう」
「…根性が腐ってやがる」
「だが、君たちが調査兵団に入団するというのなら、今まで君たちがしてきたことはみなかったことにしよう」
「…!私は、どっちでもいいよ…」
くそが…レスタにあんな顔をさせるために言ったわけじゃねぇ…
「レスタ…オレは…」
「…いいんだよ、私は。どんな運命だって受け入れるよ。あなたの選択なら。あなたのあんな顔、もう二度と見たくないもの。そんなことになるくらいなら私は、憲兵団のところへ行く」
レスタの顔を見ることができない。
どうすればいい?
考えろ、考えろ
きっとどちらを選んでも後悔する。
ならば、レスタが幸せな方を選ぼう。
いつか、この決断が正しかったと言える日が来るまで、レスタのしあわせを優先し続けよう。
しかし、身の安全は最低限守りたい。
「どうするんだ?」
「…いいだろう。入ってやる。だが、一つ条件がある」
「ほう…?なんだ?条件とは」