第1章 リヴァイとの出会い
ガキに俺の羽織っていたマントをかける。
本当は分かっていた。
パンをやってしまったのは、そいつがうまそうに食っていたからでも、ガリガリだったからでもない。
弟に似ていたからだ。
蛇に嬲られ、殺されてしまった弟に。
俺の力が足りなかったから。
ちゃんと面倒を見なかったから。
俺のせいだ。
俺のせいであいつは…死んでしまった。
殺されちまったんだ。
もっと俺が強ければ、俺がしっかり面倒を見ていれば…
そう悔やまなかった日はない。
俺は隣で気持ちよさそうに眠るガキを見ながら決意した。
こいつが身寄りがなくて放っておけば死んでいく奴ならば、俺が、大人になるまでしっかり面倒を見てやろう、と。
何時間たったのだろう。
ガキは目を覚ますと、不思議そうに俺を見ている。
「起きたか。よく寝ていたな」
そう言ってほほ笑む。
表情を表に出すのは苦手だが、こいつの前では自然と笑えた。
そういえば、名前を聞いていなかったと気づき、聞くと
「…リヴァイ」
小さくそう答えた。
「そうか…リヴァイか。俺はだ。よろしくな」
返事はなかったが、そいつは「かえす」と言ってマントを渡してきた。
「やるよ」
と言ってマントをリヴァイにかけなおし、頭をわしゃわしゃなでた。
死体の腐敗が本格的に始まると異臭が立ち込めるので死体を近くの土のあるところに埋めた。
子供の俺でも運べるほどかるかった老人は土の中で眠った。
その翌日から俺は万引きをすると、あのボロい家に行ってリヴァイにやった。
リヴァイは最初は何もしゃべらなかったので俺が独り言を言っている状態だったが、1年がたつ頃には俺が話すと、しっかり受け答えをしてくれるようになり、リヴァイから話しかけてくることも増えていった。
リヴァイのことも少しづつだが知っていった。
「なぁ、。お前どこから食料手に入れてるんだ?」
「さぁな。んなもん手に入れようと思えばいくらでも手に入るんだよ」
なんだそれは…と首をかしげるリヴァイを面白く思いながらも、出かけてくるといって外に出て、レスタとの秘密基地へ向かう。
レスタのことはリヴァイには一切話していない。
あいつとは食料を奪う窃盗を一緒にやっている。
いわば窃盗団のようなものだ。
それで盗ったものをリヴァイにやっていた。