第1章 リヴァイとの出会い
レスタはそこにいるだろうか、とつぶれかけの家屋を覗くと
「おぉ、やっと来た!あのね、!すごいもの手に入れたの!」
ほら!と満面の笑みで手に持っているものを見せつけてきた。
レスタが持っていたのは、3つのきれいな石だった。
しずく型になっていて、上から下へ行くほど青色が濃くなっており、グラデーションみたいだった。
「きれいだな…」
思わず声に出てしまった。
「でしょでしょ~‼それでね、今日はこれを渡したくて」
二つ、手渡してきた。
「なんで二つも?」
そう聞くとレスタはほくそ笑んで、
「だって私に隠れてこそこそと誰かと会ってるんだもん。一年くらい前から。食料だってその頃から盗る量が増えていったし、一人で食べている割には減るのが速すぎる。でも尾行とかしてまで知りたいと思わなかったから黙ってたんだー。…ねっ?だから二つ。分かった?」
俺は驚いた。
別に俺がもう一人に食料を分け与えていたことをレスタが知っていたからではない。
レスタが探求心を抑えたことだ。
いつもなら、尾行や聞き込み、変装をしてまで真実を知りたがるのに。
レスタは俺が隠すぐらいだからと、きっと何も調べずに見て見ぬふりをしてくれていたのだ。
なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「…ごめん、レスタ。隠すつもりはなかったんだ。いつ言い出せばいいのかわからなくて…」
俺は頭を下げて謝った。
レスタは頭を上げるように促すと、ケロッとした表情で言った。
「会わせてくれたら許してあげる。会わせてくれないんだったら、あたし許さないから」
「えぇ…」
「…許さなくてもいいのかな?」
考え込む俺をせかすように言う。
しかし俺は会わせたくない。
何故かは分からないが、会わせたくない。
「会わせてくんないんだったらぜっこ」
「あー!もうわかった!会わせればいいんだろ!会わせれば!」
絶交はやめてほしい、とレスタの言葉を遮るように俺は言い放った。
満面の笑みで「そうこなくっちゃ♪」といって秘密基地から出ていくレスタに腹が立ったが、いつものようにたたくことができなかった。
会わせたくない理由は分かり切っている。
リヴァイを取られたくないのだ。
「…ハハッ…しょうもない嫉妬だな…」
誰もいなくなった秘密基地で俺はつぶやいた。