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もう一度、あなたと【リヴァイ・エルヴィン】

第5章 生きる意味を~過去編~


『やだぁ!僕は、おねぇちゃんのことが好きなんだもん!一緒にいたいもん!うわぁぁぁ!』

『ッ…ルイ⁉』

『…あ、あんたのせいよ!あんたがルイをこんな聞き分けのない子にしちゃったのよ!あんなにいい子だったのに!あんたなんか産むんじゃなかった!』

『お前か…!なんでお前みたいのが生まれてきたんだ!死ねよ!お前なんかいらなかったんだっ!』

そう言って、父親がこちらに近づいてきた。

ガンッ

『ぐっ…!』

すごい力で頬を殴られて、オレの体は壁へ投げ飛ばされた。

口の中が切れて鉄の味がした。

いつものような生ぬるい殴り方でなかった。

こちらを本気で殺りに来ている。

オレは独学で学んだナイフで父親にとびかかった。

『うあぁぁぁぁ!』

無我夢中でナイフを振り回した。

ふいにルイの声が聞こえて振り返った。

『ねーちゃん!』

泣きながらこちらに走ってきた。

ゴッ!

『うあぁっ!』

今度は背中を鈍器のようなもので殴られた。

『ルイィィ!お前も俺たちの言うことを聞かないのかぁ!なら、お前ら死んじまえよ!俺が殺してやる!』

狂っている。

このままじゃ本当に殺されてしまう―!

ルイの手をつかんで必死に逃げた。

地下街への入り口へたどり着いた。

『待てぇ!殺してやる!』

狂った父親の声が聞こえて、地下街の階段を必死で降りた。

ここなら、きっと―!

そして、走って、走って、走って―

気づいたら、オレたちを追う声は聞こえなくなっていた。


オレ達は、降りてきた階段を上ろうとした。

すると、男たちに引き留められた。

『お前ら、金は?』

『お金…?』

『ここを通るには、金が要るんだよ。まさか知らねぇのか?』


オレは金がないと地下からは出られないということを初めて知った。

仕方なく、地下街の道路で眠った。

次の日から、万引きをしナイフを振り回す日々が始まった。

『クズが!汚ねぇ手でオレに触るんじゃねぇ!』

初めて人を殺めたときは自分が怖くなった。

でも弟を生かすためにオレはなんだってやった。

しかし、ガキにできることには限度があった。

腹を切られ、動けなくなった。

ここでオレの命は終わりなんだと思った。

でも、神様はそう簡単に死なせてくれないようだ。

『あなた、いきてるの?』

もう開きたくもない眼を開いた。

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