第4章 もう、離さない
何故こいつがここにいる?
何故だ?
いや、まだと決まったわけじゃねぇ。
こっちを見てねぇから、あいつのトレードマークの左目の傷があるかどうかを確認できねぇ…
いるはずがねぇ。
左目に傷のあるやつが殺されたと、聞いたからだ。
つい、昨日のことだ。
いるはずがねぇ、死んだはず。
俺を守ったあの時からあいつは姿を消した。
また、捨てられたんだ。きっと。
その俺のもとにケニーが来て、地下街での生き方を教えられた。
そして今ここにいる。
。
愛しい名を呼びたいのに、声が出ない。
声を聴きたい。
いつまでも見ていたい。
に、触れたい―!
がこちらを向いた。
やさしい顔をしていた。
クソガキだった俺に、初めて微笑んでくれた時の顔だ。
そしてその顔には、隠すためか巻かれていた布がずり落ちた隙間から覗いている左目には、傷があった。
「…」
やっと愛しい名を呼ぶことができた。
「リヴァイ…」
あぁ、こいつだ。
こいつがだ。
やっと、俺のものにできる。
俺の気分は今、最高潮だ―