第4章 幻夢
へし切長谷部は初の出陣を果たした。
全て完全勝利を収め誉も頂いた。
帰還すると蓮月はほっとした顔を浮かべながら一振一振ずつ
「お帰りなさい」
と、声を掛けた。
まだ目に光はない。
長谷部「(少しは喜んでくれるだろうと思ったのだがな…)」
まぁ、いい。これからだ。これからもっと強くなる。そうすれば、主は振り向き、俺を…。
長谷部「(俺を?)」
後の事が出てこなかった。何か心に靄がかかっているみたいだ。
長谷部「(俺は第一部隊の隊長になり、近侍になり、主の傍にいる。それだ)」
うん。と、心の中で頷く。
自室に戻るという主の背中に小さく微笑んだ。