第3章 違和感
「第一部隊。
陸奥守吉行、小夜左文字、へし切長谷部、宗三左文字、にっかり青江、鶴丸国永。
以上、出陣の準備をして下さい」
読み上げられた言葉につい嬉しさで宗三左文字の顔を見るへし切長谷部。
宗三「(ほらね)」
と、口パクで返す。長谷部はコクッと頷き目線を元の位置に戻した。
宗三は主の顔を見る。微笑んでいるが、目に光がない。
次に陸奥守吉行の顔を見る。主を見ている。どこか「大丈夫だから」と言っているかのような優しい目をしている。
宗三「(主ねぇ…)」
この本丸より、主に何かがある。なにか抱えている。
何を?
「私は自室に戻りますね」
蓮月はそう言うと立ち上がり部屋へと続く廊下を歩き出した。
「主さま、お話が」
管狐のこんのすけが蓮月を求め後を追う姿を見た。
「…。」
主は先程とは違う不安な表情をしていた。
こんのすけ「お部屋で」
「…はい。」
主はこんのすけと共に自室へと帰っていった。
宗三「…。」
一人と一匹の姿が見えなくなった後、宗三は部屋へ帰っていった。