第3章 違和感
へし切長谷部が顕現されて三ヶ月が経った。
長谷部「…」
長谷部は不満を抱えていた。
宗三「戦に出たい…ですか」
その不満を同期である宗三左文字に吐き出していた。
長谷部「俺は早く主のために強くなり尽くし、いつまでも傍にいたいのに…」
宗三「傍にいるじゃないですか」
長谷部「そういう傍にじゃない、…近侍になりたいのだ」
宗三「そうですか」
長谷部は机に置かれた湯のみに手を伸ばし中のお茶を飲む。
長谷部「お前はどう思うんだ…?」
宗三「何がですか?」
長谷部「戦の事」
宗三「…確かにこの本丸は変わっていますね。
余り出陣しないタイプの主じゃないですか?僕は穏やかにお小夜と江雪兄様と一緒に入れて良いのですがね」
長谷部「…」
宗三「でも…、僕達は刀ですから、あの戦が耐えない時の刀ですから…でもまぁ僕は籠の鳥でしたがね」
長谷部「…すまない」
宗三「今更ですよ。気長に待ちましょう」
そう言って宗三は湯のみに手を伸ばしお茶を飲んだ。実は彼も違和感を感じていた。この本丸や主の蓮月について…。
宗三「さて、僕は部屋に戻ります」
長谷部「あぁ、すまなかったな」
宗三「別にいいですよ」
宗三は立ち上がり、長谷部に背を向け部屋へ戻って行った。