第12章 守る
「はぁはぁっ!」
何度も足が縺れる。だが止まることは許されない。
深い傷を負った小夜を抱えひたすら走る。
後からは蓮月が投げた札を身体中に貼り付けながらも地鳴りのような声を荒あげ、大太刀が追いかけてくる。
封術を使うも一瞬しか効かない。なぜ効かない…。
「あっ!」
遂に足に限界が来てしまった。石に躓き地面に転んでしまう。
転んでも尚、小夜だけは手放さない。苦しそうな息を漏らす小夜を必死に体で受け止める。
「ヴォォオオオオオ!!!!!」
耳を塞ぎたくなる様な大声。
蓮月は決意する…。札は効かない。もう、自分がやるしかないと…。
小夜を下ろし持ってきた刀に手をやる。
深く深呼吸し鞘から刃を取り出した。
生前母が言っていた。
『この刀は貴方を守る刀よ。』
刀身はとても美しく光り輝くように見える。
「…私が守る…。」
蓮月は刀を構えた。
それを見た大太刀はまた雄叫びを上げる。
そして大太刀は自身の刃を蓮月に向かって勢いよく振り落とした。