第2章 紫藤色の目
長谷部「お待たせしました。」
主が待つ部屋に入ると、初期刀、今は近侍の陸奥守吉行が主の横に座っていた。
陸奥守「おぉおぉ!長谷部!取り敢えずちと座ってくれんかのぅ?」
ニコニコとへし切長谷部に手を振り手招きをする。
長谷部は丁寧に礼をし、主の前に座った。
『蓮月』この本丸の審神者。本丸の主である。
黒く艶のある長髪に吸い込まれてしまいそうな紫藤色の目をしている。
だが、その目には光が宿っていない…。
「数日ですが、本丸には慣れましたか?」
長谷部「はっ、日々教えて頂きながらですがここでの日常、やる事等は分かってきたと思います。」
「良かったです。近々、畑仕事等もやって貰おうと思ってるので…その時はベテランの方と一緒につかせるので大丈夫かな」
長谷部「承知しました」
「それで…」
長谷部「はい」
「…」
陸奥守「…あぁ!あれじゃな!台所!料理!」
「…そうそう!今は燭台切光忠と歌仙兼定が主にやってて…あれも当番制に…て、これはまだ早いから大丈夫!ごめんなさい!もういいですよ!」
長谷部「は…はぁ…。また何かあれば直ぐにお呼びください」
長谷部は「失礼します」とまた丁寧にお辞儀をして部屋を出ていった。
陸奥守「…まだかの?気持ちは」
「…ごめんなさい…。」
陸奥守「余り言いたく無いのじゃがな…他の連中もそうじゃ、皆待っとる…」
「ごめんなさい…」
陸奥守「…ゆっくり行くとするかの…」
陸奥守は優しく主の頭を撫でた。