第6章 結界札
「(あ、北の結界札少し古かったような…先に新しいの作って張り替えようかな)」
自室に戻ると早速、何も書かれていない紙札を手に取った。
筆を握り結界術を掛けながら札に書き込んでゆく。
「できた」
出来たての札を持ち、自室を出ようとする。
カチャッ。
後ろで物音が聞こえた。振り返るも何も物が落ちたりや音が鳴るような物は見当たらない。
他にはと自室に目を通す。自室にある二振が目に入った。
「…。」
その二振は、この本丸でもある神社に奉納されている顕現されていない刀剣。
二振とも漆黒塗仕立に柄巻と下緒が紅色と蒼色の色違いで、
蓮月が触ってもただの打刀である。
その一振、柄巻と下緒が紅色の刀は生前母が大事にしていた。
「…念の為持っていこうかな」
一振を握り、蓮月は自室を後にした。