第4章 幻夢
あの日以来から時々、同じような夢を見るようになった。
夢の中で主が微笑む。柔らかく愛らしく。
夢の中の主は心の底から幸せそうな顔をしている。
今の主と別物ではないかと思う程。
長谷部「…可憐だ…。」
「え、あたいの事かい?」
長谷部「あ、いや…」
つい声が漏れてしまった。隣にいた次郎太刀は「ついにあたいの魅力に気づいてしまったか長谷部〜」と、ご機嫌良く長谷部の背中を叩く。
「次郎ちゃん可憐だもんね〜」
聞いていたのか主もクスクスと笑う。
長谷部「いや!俺は…」
貴方の事を。
また言葉が出なかった。最近主に自分の気持ちを伝えようとすると上手く言葉が出ない。
次郎「色男に言われちゃうとテンション上がるね〜!よぉーし!じゃんじゃん呑もう!!」
「次郎、もうよしなさい」
次郎の横にいた太郎太刀が声をかける。
次郎「ええ〜〜兄貴も呑もうよ〜」
太郎「私は呑みません。昼間から呑みません」
「そうだよ次郎ちゃん、まだ昼間!夜飲もっか!」
次郎「やったねぇ!主とどんちゃん飲もう!」
嬉しそうに笑う主。
長谷部「(今のは…)」
一瞬だけ、夢の主の表情が見えた気がした。