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君じゃないのに/財前裏

第1章 1#


「ねえ先輩…セックスのドキドキから恋に繋がることもあるんすよ」

違う。

「ま、先輩のは思わせぶりてとこやろうけど」

彼の目を見られないのはきっとそんな理由じゃない。

『ひ、あっあぁ…!』

敏感な箇所を強く擦り上げられ求めていた先へと行き着いた。

『あ、はっ…はぁ』

「すげえドロドロ…パンツの意味ないし」

『きたないから…』

またも指先を舐め上げている彼を阻止したいがそれ程の力はない。

「知っとるわ。そうやって恥ずかしそうにしてるん見たいだけ」

その言葉もまた恥ずかしいが力なく立膝から彼の上へへたりこんだ。

『…あつ…?』

ちょうど秘部に当たる熱いもの。多分、彼の温度。

「俺とシてみます?性欲の強い先輩が満足するかわからんけど」

『…財前くんも興奮してるの?』

「当たり前な事聞かんでください」

弄んで楽しんでいるだけかと思っていたが、自分に欲情していたことに何と反応していいのかわからない。

『…する、の…?』

「は?せんよ」

覚悟して聞くがあっさりと返され押し黙った。

「先輩が俺とシたくなったら考えますわ」

上着を取り荷物を片手にする彼はこの先をする気など本当にないらしい。

「誰でもええって人とは俺はしませんので」

聞きたいことは多いが、吐き捨てられたようで踵を返す彼を見詰めることしか出来なかった。




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