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君じゃないのに/財前裏

第1章 1#


「俺をパシリにしようとかええご身分やん」

隣の壁に手をつかれ足が竦んだ。

「俺のことや好きでないからあんなことしても意識しませんてか?何でこんなとこ呼んでるんか考えろや」

話があると伝えた先で指定された体育倉庫。

『…誰にも聞かれたくないから…それに…タダだと思ってない、し…』

目を泳がせ赤くなっていく彼女の姿にそれ以上言おうとはしなかった。

「なんか…ええわ」

『え?』

「好きな男がおりながら何その期待してますって感じの。引くわ」

『待って!』

去ろうとする財前の袖を掴む。

『…どうすればいいかわかんない…さっきのこと忘れたいの…都合がいいのはわかってる…』

少しだけ財前に触れられることも期待していた自分がいる。本当に最低。

『ん…!』

腕を引かれ振り向いた彼に気付けばキスされていた。快感の果てを知ったあの日が鮮明に蘇る。

「さっきの、なんか言わんと謙也さんの事も忘れて」

まただ。彼の切ない目から逸らせない。

「…俺だけ見て」

切れ長な瞳に見詰められどきりとしてしまう。彼がマットに腰掛けたと同時に手を引かれ、よろけて向かい合いながら膝を乗り上げた。

「結局乗せられてる俺も単純やと思ってるでしょ」

否定したかったが、唇を塞がれ何も言えなかった。

『ふ、あ』

以前よりも激しいキスに思考が止まっていく。舌先が触れて絡み合う唾液に熱くなる吐息。

「上乗ってきて」

恥ずかしいが既にキスで酔わされているは言う通りに向かい合う体勢で彼の上へ座った。

「…服着てても分かるんやけど…先輩濡れるん早すぎ」

『私変なのかな…』

「変なのかなつか変態やろ」

『ち、ちがう…』

再び交わる唇に翻弄される。こういう事をする時の彼は器用で上手だ。抱き寄せる腕も心地好く、気付けばの方も彼の背へ手を回していた。

「思わせぶり…ビッチやな先輩」

制服のジッパーを下ろし上半身が曝け出される。

「キャミぐらい着たら」

下着の隙間を縫って入る冷たい手。

『ひあっ』

「すんません…心が温かいもんで」

適当なジョークを並べられたが、先端にある蕾を刺激されビリビリと電流が走りそれどころじゃない。

「先輩はどんな風にしてあげたら忘れられるんかな」

空いている手をショーツに添わせ秘豆を撫で付けた。





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