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淡雪に燃ゆる想いを【鬼滅の刃】

第1章 淡雪に燃ゆる想いを


強くそう想った時、あたしは猗窩座を殴った時みたく強く握った拳を鬼に向かって振るっていた。猛獣のような咆哮をあげて、訳も分からずぶん殴った。けたたましい声が出る、喉がかっ切れるぐらいの大声。殴った手から鬼の骨が折れる感触がして、鬼が苦しそうに呻き声を上げる。

「…お……おおま"エ、オにか…!!」

顔面が半分吹き飛んだ鬼が険しい顔でそう叫び、地面に落ちるなりさっさとあたしの前から逃げていった。

「……………」

あたしはガクッと腰から地面に落ち、倒れ込むように土の上に寝転がった。
さっき血がバカみたく出てた。自分のことながら、こりゃあやばいなと思った。
このまま失血多量で死ぬのかと思ったが、何故か腹はもう痛くない。
恐る恐るお腹の辺りを触る。確かにあの時、爪で腹を深くえぐられた。その証拠に服は破れているし、手の平には致死量の血痕がついているが傷がない。これはないと言うよりも治っているに近い。

「…これも鬼になったから?」

綺麗にくっついている腹を手でさすりながら呟く。

「やぁやぁ、物凄いものを見てしまった」

ふっと寝転がるあたしの視界に入った鬼の顔。またかと飛び起きて戦闘態勢に入ろうとしたが、あたしは見覚えのあるその顔に動きを止めた。あたしに笑うのは城で出会ったもう一人の鬼だ。確か名前は。

「童磨だ、もう忘れてしまったかな」

「何かあたしに用ですか…」

「猗窩座殿はどこへ行ったんだい?」

「分からない。多分帰ったと思う」

あたしの言葉に、そうかと彼は微笑む。

「行くところがないなら俺の施設に来るかい?」

「施設って、なんの?」

「教団だ。万世極楽教さ」

教団ってことは、彼は鬼だけど何かしらの宗教の教徒なのか。なんだか怪しいような気もする。ついて行っても良いものかと渋るあたしに童磨はゆらりと笑った。

「美味しいものを食べたくない?」

「……美味しいものがあるの?」

楽しそうな表情をした彼がゆっくりと頷くので、あたしはまんまと童磨の後をついていくことに。
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