第17章 王様の恋人(跡部景吾)
「やはり、最高の女だ!!」
少しすると動き出した跡部に内心笑いながらもテニスコートに見送った。
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それから、数日合宿は続き。
頼華はあの日からマネージャーとして皆のケアをしていた。
そして、今日、合宿最終日。
青学と練習試合をすることになった。
青学がそれぞれ引いたオーダーに乗っ取り、試合は進んでいく。氷帝は各自が合宿で鍛えた己の力を十二分に発揮していた。それは青学もまた同じだ。
そして、最終試合、跡部は越前との試合になった。
執拗に破滅への輪舞曲で越前を攻めていく跡部。
頼華の前では型なしだがやはりコートに立つといつもの王様らしく、振舞っていた。
それを笑顔で見守っている頼華。
「何よ、ちょっとかっこいいからっていい気にならないでよね!」
「ちょ、ちょっと朋ちゃん聞こえるよ」
「聞こえるように言ってるのよ。
あんたなんかリョーマ様のドライブAでKOされちゃいなさいよ!!」
リョーマ様と言った、恐らく彼の追っ掛けであろう女の子のヤジが飛ぶ。
「頼華さん、何処に行くんですか?」
「ちょっと、ね。聞き捨てならないわね」
少し眉間にシワを寄せながら颯爽と歩いていく頼華に鳳はあぁ、やっちゃったなぁと心では思いながらもその背中を見送った。
「桜乃ちゃん、」
「あ!頼華さん!」
「ふふ、元気そうね」
「桜乃、誰?」
「えっと、こちらは───」
竜崎桜乃が頼華を紹介しようとした時、その言葉を遮って頼華は微笑んだ。
「越前くんのファンの子かどうか知らないけど、
うちの景吾の努力も何も知らないやつが
ナマ言うんじゃねーよ、糞ガキ」
微笑みながら毒を吐く彼女に朋ちゃんと言われる少女の表情は固まっていた。
「またね、桜乃ちゃん」
「え、あ、頼華さん…!」
桜乃の頭をひとなでして頼華はまた戻っていった。