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Amor vincit omnia__愛の勝利

第12章 勇気(跡部景吾)




颯一郎に促され部屋に足を踏み入れると甲冑や刀、虎が描かれた屏風が目に入る。先に頼華が座るとその後すぐに跡部は横に座った。

「初めまして、頼華の父親の龍ヶ崎颯一郎と言います。」
「…この度はお招き頂き感謝します。頼華さんとお付き合いさせて頂いてます跡部景吾です。」

いざ颯一郎を目の前にすると少し緊張している跡部。それを分かっているかのように頼華は跡部の手を握った。


「娘をいつも送ってくれているみたいだね。有難う。」
「いえ、彼氏としては当然です。」
「…そうかね、ならいいんだけど。」

颯一郎は笑いだした。ふいに緩くなった雰囲気に跡部は内心落ち着きを取り戻した。


「…もう、お父さん…!」
「はは、ごめんごめん。」

颯一郎は頼華の彼氏を見て見たかっただけなのだと頼華は悟る。

「はぁ…ごめんね、跡部くん」
「…あぁ、大丈夫だ」

と出された茶を口にする。こくりと喉を潤してくれるお茶に跡部は己の口の乾きに緊張していることを悟った。


「…頼華、お前は先に部屋に行っていなさい」
「…え?」
「男同志で話がしたいんだ」
「…わかった。変な事言わないでよ…!」
「あぁ、わかっているよ」

先に行ってるね、と跡部に言い残し頼華は部屋を後にした。



「…さて、景吾くん、」
「…はい」
「…まぁそんな畏まらないで。別に怖いこと言おうとしてるんじゃないんだ。…頼華をね、知ってもらいたくて。」
「…と、言いますと?」
「んー。頼華の過去、かな。あの子はきっと自分から話さないと思うし。それをわかった上で娘と付き合っていて欲しいんだ。」

それでもいいかい?と颯一郎は問う。元々頼華を知った日から覚悟はしていたことだ。自分が知らない事など無いようにしたい、彼女を泣かせたくないから。と跡部は思っていた。跡部が頷くと颯一郎は頼華の過去を話し出した。

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