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Amor vincit omnia__愛の勝利

第11章 約束(織田信長)




「今日は貴様に助けられたあの日から半年だ」

そう、今日はあの日─本能寺から救い出されたあの日から丁度半年。信長の脳裏にはあの日の出来事が確りと焼き付いていた。

「初めは変わった女だと、そう思っていた。」

信長にしては珍しく続けて話す。

「だが貴様を意識し始めてからはもう止まらなかった。」
「信長様…」
「今ではこんなにも貴様が愛おしい」

信長に抱き締められた腕の中で頼華は微笑む。


「頼華。この俺と夫婦(めおと)になれ」
「…!!」

現代であるならもっと雰囲気のある場所でそれらしく、というのが最もなのだろうが、頼華は信長らしいと思っていた。最初は冷たい人だと思っていた信長を、本当はとても温かくて不器用な人だと知ったから。

「返事ははい、しか聞かぬぞ」
「勿論ですよ、信長様」

貴方と離れるなんてもう今では考えられないし現代に戻りたいとも思わない。そう思いながら信長を抱きしめ返す頼華の頭に軽く口付けを落とす。


「…結納は半年後─つまりあの日から1年後としよう」
「…っはい!」




それからというもの、城内はバタバタと忙しくなった。信長と頼華が結納するに当たり、城内は大騒ぎ。それを聞きつけた政宗や家康等も各領地から集まっていた。



「信長様も相変わらず派手だなぁ」
「いや、信長様だから、じゃないの?」
「違ぇねぇな。」
「秀吉さんが1番忙しいんじゃない?」
「いや、そうでもないぞ?」

城に着いた政宗と家康を出迎えたのは秀吉だった。
それから結納の前祝いとばかりの宴が盛大に開かれ政宗の手料理をはじめとしたものが豪勢に振る舞われた。











そして1年後の今日、ついにその日がやってきた。


「…、頼華。」
「ん……」

眠たい目を擦りながら目を覚ますとそこには信長の姿が。

「おはようございます、信長様」
「あぁ、おはよう、頼華」
「いよいよ、ですね」

朝日もまだ昇らない薄暗い中。頼華は信長の腕の中で今日という日を噛み締めていた。
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