• テキストサイズ

Amor vincit omnia__愛の勝利

第5章 照れ屋と優しさ(跡部景吾)



*おまけ*
彼女side

最初は跡部くんに話しかけられた時何故自分に?と思っていた。入学式での派手な彼の言動、財閥の御曹司に相応しくテニス部を乗っ取り頂点に君臨した人、自分からは遠い存在の人と思っていた。あの休みの日だって女らしい格好とは程遠い男のような格好をしていた自分をよく見つけたなぁとは思いつつも、自分がまさかあの彼と話す事なんてないと思っていなかった。学校でもよく彼から話しかけられるようになりいつの間にか彼が横に居ることが増えていた。日に日に彼に話しかけられる度に何時しかドキドキと心音が強くなった。彼の事を好きなんだ、と否が応でも感じさせられた。
それを良く思わない女子から呼び出され──というかファンクラブなんてあったのか、とも思いながらまるで漫画みたいだなぁなんて思いながら校舎裏に行ったっけ。彼女たちはまぁ何か喚きながら言っていたけれどこういった陰険なのは好きじゃないから殆ど話聞いてなかったけど。彼女たちの何人かがそれを分かって掴みかかってこようとするもんだから。思わず目の前寸止めで上段蹴りをしてしまった。あぁやばいかな、とは思いつつもまぁいいかな、なんて思いながらその場を後にしたっけ。
その後だ、跡部くんから告白された。頭の中でこの告白を断る義理なんてないなと思いつつも彼に自分が見合うのか、その不安があった。告白を受け入れてからというものの、跡部くんと毎日一緒に帰ることが増えた。彼の親切心からか歩いて帰ったりも時々ある。けれど、好きだとか手を繋いだりとかぜんぶ彼からで。学校でも話しかけるのは跡部くんからだし自分から話しかけるのはほんの数える程度しかない。付き合って3ヶ月、跡部くんの優しさに甘えるのはもう辞めよう。自分から、と思いながらお昼休みに跡部くんはいつも樺地くんと学食に行ってるはずだと学食に行ってみるけど樺地くんしかいなかった。

「あ、樺地くん」
「頼華さん。」

跡部さんなら屋上です、と私から聞く前に彼は教えてくれた。ありがとう、と伝えると彼は少し微笑んでいた。
屋上に繋がる階段の途中で誰かの話し声が聞こえてくる。

「跡部くん…と忍足くん…?」

ふたりでいるのは珍しいなと思いながら屋上に足を踏み入れようとしたときに耳に入ってきたのは私の名前。どうやら私の話をしているらしい声を立ち聞きとは悪いなとは思いながらも聞いていた。
/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp